物性・動態・毒性評価

⾃動細胞培養システム

第一三共RDノバーレは、細胞培養を自動化したシステムを導入しており、化合物のADMETスクリーニングを迅速に行う体制を整えています。
熟練の研究員の手技を取り入れたオリジナルシステムです。

創薬研究プラットフォーム

コア技術

物性・ADMETスクリーニング / D/Pシステム / 高速パッチクランプ測定 / データ統合解析

業界トップレベルの物性/ADMET評価系

薬効スクリーニングと並行して、創薬段階の化合物の物性/ADMETを評価し、特性を早期に把握することで、創薬の成功確率とスピードを上げることができると考えています。

第一三共RDノバーレでは、自動化が困難とされたほぼすべての物性/ADMETスクリーニング系を自動化し、ITシステムを構築・活用しています。例えば、需要の高い分配係数測定は完全自動化を達成し、特許を取得しました。また、溶解度測定においては凍結乾燥技術で溶媒を除き、純粋な緩衝液に対する溶解性を広い測定レンジで評価します。さらに、これらスクリーニング評価値から"薬らしさ"を可視化し、合成展開の方向性を提示可能なBioavailability Potential Mapのような解析手法を有しています。

他にも、リキッドハンドリングシステムによる試験のミニチュア化・自動化、LC-MS/MS分析法の最適化と、これらを統合的にマネジメントするITシステムの構築などがあります。このように、物性/ADMET評価の実力は、業界内ではトップレベルに位置します。

創薬動態グループでは、単純に物性/ADMETスクリーニングだけでなく、新しい評価系の構築も日々行なっています。スクリーニング試験は、非細胞系評価系、細胞系評価系に大別され、細胞評価系では以下の評価を行なっています。

  • 細胞単層膜を用いた膜透過性評価(主に腸管吸収性を予測)
  • トランスポーターに対する基質認識性評価(臓器への特異的な取り込み/排泄を予測)
  • 心筋イオンチャネルに対する阻害効果を評価(心毒性;特に催不整脈性を予測)
  • 細胞に対する障害性を評価(組織障害性を予測)
  • 遺伝子に与える影響を評価(遺伝毒性を予測)

しかし、上記評価に使用する細胞の培養や継代は定型的な作業であるものの、相当の時間と人手を要します。これらを省力化、省人化できれば、細胞が安定的に供給され、評価スピードのアップ、ひいては創薬の加速につながります。そこで、創薬動態グループでは自動細胞培養システムを導入することにしました。

ロボットでもできること、ロボットだからできること

自動細胞培養システムは、機器メーカーの協力のもと、第一三共RDノバーレ独自のものに仕上げました。システム導入は、ただ効率化するだけでなく、ロボット操作によって細胞品質を均一に保つ目的もあります。

人間が操作すると、どうしても個人差や、同じ人間でも操作のばらつきが出てしまいます。そこで本システムでは、熟練の研究員の手技を取り入れることにしました。特に、フラスコの取り扱いのマスターには注力しました。デカント操作は、大胆な操作にもかかわらず、これまでコンタミ発生がないほど精度高いものに仕上がっています。

自動化で生まれた時間をチャレンジの原動力に

研究員も自ら装置開発に携わり、自分たちだけでトラブルを解決できるよう操作方法を学びました。また、自分たちで操作できるからこそ、改善点を見つけてブラッシュアップすることができました。改善を積み重ねることで、他に類を見ないシステムとなることが今後も期待されています。

自動細胞培養システムは、ただの効率化アイテムではありません。ヒト体内動態/毒性の予測精度に優れる細胞評価系のデータは、創薬へ大きく貢献するものであり、そのために必要な細胞を安定して供給することは、創薬の原動力となるものです。

私たちは、新しい実験系を構築するまで自分たちの手を動かし、構築できた後は自動化に落とし込むことをコンセプトに動いています。自動細胞培養システムの構築にあたり、私たちが一番こだわったのは、自分たちの手の作業を完全にロボットに踏襲してもらうことでした。人とロボットの協業です。
今回のシステムはまだ完成ではなく、改良したいところはまだあります。自動化することで生まれた時間を新しい実験系の開発に費やすことで、創薬プロセスが加速できると思います。

竹山匠子 副主任研究員

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